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昨今の日本では資格が流行しており、国家資格に限らず、民間団体の資格も数多く存在します。これらの資格の取得によって、自分のスキルや知識を確認することができるという意味では、資格の受験にも価値があります。しかし闇雲に挑戦しても、自分のキャリアアップやスキルアップにつながるかどうかは疑問です。せっかく努力をするのであれば、まずはその前に自分の将来像をよく考えて、その将来像に至る計画を立てることが大切であり、そのための資格を選ぶことです。
資格の取得には、一定時間の講習を受講するだけでよいものや、実務に携わるための様々な知識を問うものや、実技試験まで要するものなど、実に様々な条件があります。しかし、いざそれが通用するのかといえば、どのような場面でそれを提示するかにもよります。つまり転職を決意して、実務経験もないのに資格だけで中途採用されるかといえば、相手企業の求めるレベルにもよるでしょうが、大抵は厳しいでしょう。
資格とは机上の勉強で取得するものがほとんどであり、相手企業が即戦力としての中途採用者に求める実務経験とは全く違うのです。もちろん例えば弁護士や医師など、その職種に就くためには資格が大前提となるものであれば、まずは資格の取得が必要なのは当然です。しかしキャリアアップのための資格は、仕事と無関係では使いようがありません。民間の資格はその業界が人気になれば、続々とあちこちの団体が独自のものを作り出すようになるということもあって、転職で有利になるかどうかは、その業界の中でどれだけの信用度を獲得しているのかによって左右されます。そのため魅力的な広告に踊らされる前に、どんな資格であれば自分の仕事や転職に有利であるのかをまずはよく調べておく必要があるでしょう。
資格を必要としない職種であっても、自分のスキルに自信が持てない場合、つい資格に頼ろうとしがちです。しかし現場で仕事をするのは資格ではなく、自分自身です。現場ではどんな問題が起きるか分からず、また一度起きてしまえば臨機応変な対応を求められます。そのための備えとして一定レベルのスキルや知識を身に付けておくことは有効であるため、資格のための学習も使いようによっては効果的です。資格を取得することそのものがいつの間にか目的にすり替わってしまわないよう、なぜ自分はその資格を取得するのかという理由を、常に忘れないことが大切です。そして現場で求められる実力がどのようなものなのかを、冷静に客観的に見極めて、それを満たすよう努力することを怠ってはなりません。
人間関係を良好に築くための自己表現力、アサーション、対人関係力といったヒューマンスキルは、ビジネスの上でも大きな価値があります。互いに立場も利益も異なる者同士にとって、意見の衝突はつきものです。そこでそれをどう乗り越えるのかという交渉の場面では特に、相手の立場を考えながら、自らを適切に表現し、決してあやふやに誤魔化してしまわないことが大切です。そしてお互いの主張を吟味して、決して目的からブレずに、冷静沈着に妥協点を探る柔軟さが求められるのです。小手先だけで調子を合わせようとしても、決して上手くは行きません。
ビジネスには様々な制限があり、その限られた資源で仕事を完成させなければなりません。そのため無駄のない、効率的な業務遂行が望ましいのです。仕事に関わるのは一人だけではなく、組織として結果が求められるため、まずは責任感があって最後まで仕事をやり遂げる姿勢が大切です。そして指示待ち人間ではなく、自らの頭で考えて行動できなければなりません。また組織の一員として特に外部に対して、自分が良くも悪くも印象づけてしまうということを肝に銘じなければならず、ビジネスマナーは重要です。これらを兼ね備えることが、テクニカルスキル、すなわち業務遂行能力なのです。
新卒時と異なり、転職時には転職希望者にも一定の社会人経験がありますし、求人企業も即戦力を求めるのが普通です。企業が自前で人を育てる余裕がないといった事情から、中途採用に積極的な場合、実務経験年数や資格について条件が付される例もあります。それは現場における必要最低限のレベルを示したものであり、従って勤めながら教えてもらおうなどといった安易な考えは通用しません。その一方で自分の実力が通用するか不安であっても、まずは客観的な目でキャリアの棚卸しをすることです。案外相手企業では高く評価されるような、経験やスキルがあるかもしれません。
